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靉靆死・ルナビアンカ・黒慈姑變

   次の三作品は、単行本の小説集に納められず、今日に到つてゐる。初出は下記の通り。収録されなかつた理由はいろいろあらうが、ここでは問はないし、その意味もない。

・「靉靆死」         須永朝彦歌集東方歌傳』  巻末所収       73年6月湯川書房刊 

・「ルナ・ビアンカ」 『ザ・カード』  ダイヤモンド・カードPR誌 83年12月號所収 

・「黒慈姑變」       『月 光』2號  月光の会季刊誌         88年7月號所収

 

   3年ほど前になるが、この3作品に「鳥兜鎮魂歌」と「寫實街殺人事件」を加へ、『繡華燦爛』と題して3部制作した。その際、「ルナ・ビアンカ」は、「花歌留多異聞」と改題したが、最近、制作した『カサンドラ異聞』にも同工異曲の命題法に採つたことに、我ながら呆れてゐる始末である。やはり、『カサンドラ異聞』の題名はよく考へるべきであつた。「夏至遺文」と「黄道遺文」の例もあり、あまり氣にせずとも、よささうだが。

 

   「鳥兜鎮魂歌」と「寫實街殺人事件」の初出は、各各「あいん」9號1980年と「短歌」1957年11月、単行本収録は、『トレドの葵』と『夕暮れの諧調』である。話は飛ぶが、『夕暮れの諧調』には、「死せる皇子らのための呪詞」「夕暮れの諧調」「重陽記」の三小説も納められてゐる。これも、和本仕立てで装丁して一本とした。題名は、『拾遺錦草』、一応仕上がつてはゐるが帙が未完成である。

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